なぜ協力するのか?

ある研修で、このグループの目標は?と聞いたところ、「それぞれが、ネガティブな発言をせず、グループを高めるポジティブな声かけをすること」という答えが返ってきました。

それを聞いた時、私は率直にとても良い目標だと感じました。メンバーが皆、それを意識して活動できればきっと素晴らしいパフォーマンスを発揮できると思いました。

しかし、時間が経って、そんな目標を掲げていたグループが活動している様子を見ていたら…ネガティブな発言は、グループのパフォーマンスを下げると言い切れるのか?という疑問が湧いてきました。

グループについて

グループワークEECでは、10人程度のグループにグループ担当のスタッフをつけるスタイルが主流です。そのスタッフは、実習などの課題提示、ルール説明・審判、安全管理をするインストラクターであり、グループの様子、メンバーの様子を観察し、活動後のふりかえりで学びを深めるファシリテーターでもあります。

学びを深めるためにしっかりと活動中の個人の様子を把握できる範囲が、この10人程度というグループサイズになります。また、メンバーが多いとグループに関わらなくても良い役割の隙間、空白が生まれます。その隙間、空白を最小限にできるサイズでもあるとも言えます。また、それぞれの学びを深めるために、メンバーの相互作用が重要ですが、それが起こりやすいサイズでもあります。

目的や対象にもよりますが、基本的にはくじ引きやゲームで並び替えるなどランダムでグループを作ります。偶発的にできたグループであれば、グループの状況に応じてそれぞれの個性なり、能力なりが発揮され易くなり、状況に応じて変化できる者が優位な状況が作れます。それは、普段は発揮されない伸び代に自分自身が気づく事にも繋がります。

そもそも、人と協力するとは?

「 “協力” することは大切である」と言われます。グループという集団を見たとき、人の能力などには凸凹があります。それぞれのメンバーを見ると、この場面では、力を発揮できるけれど、ある場面では力が及ばないということが起こり得ます。この人ではできないけれども、別のある人ならできる可能性があったり、この人一人ではできないけれども、別のある人の力を借りればできる可能性があったり…そんな場面が、世の中にはゴロゴロしています。もしかしたら、そんな場面しかないかもしれません。一人ではできないことを成し遂げられる、お互いの支援・応援により、それぞれの力が引き出される、可能性を拡げられる。だから、人は協力して、目的に向かっていくのだと思います。

時には必要なヘルプメッセージ

そこで、冒頭の “ネガティブな発言は、グループのパフォーマンスを下げると言い切れるのか?” という疑問についてです。

「ここまではできるけれど、ここからはできそうにない」とか、「コンディションが悪く、今はポジティブになれない」とか、自分の弱さ、今感じているしんどさなどを含めて、今の自分の状況をはっきりとグループに示すこと、ヘルプメッセージを出すことで、他のメンバーの協力を得られやすく、協力しやすくなると思います。

わからないことがあっても「わからない」と言えない人はたくさんいます。それは、「こんな事もわからないの?」という周囲の反応を恐れていたり、そもそもわかっていない事に気づいていなかったり、「わかっているよね」という暗黙の強要があったり…でも、わからないことがあっても「わからない」と言えなければ、周囲がその状況を知る術はありません。事が進んでしまっては、どんどんと「わからない」と言えなくなってしまいます。「わからない」は、ネガティブな発言ではなく、ヘルプメッセージです。

“協力” は、メンバー一人ひとりが今持っている力を最大限発揮する(発揮しようとしている)こと、本気で取り組んでいる事を前提としています。わからないことをそのままにしていては、この前提は崩れてしまいます。明らかに手を抜いている人、ただ単に人に寄りかかっているような人には、協力も心からの応援もできないのではないでしょうか?

ヘルプメッセージをもし、グループのパフォーマンスを下げる発言と捉えているならば、そこは改めて問い直すべき事だと思います。

この記事を書いた人

鈴木 浩之(Hiroyuki,SUZUKI)
有限会社エッセンシャルエデュケーションセンター Sales&Promotion担当マネージャー。
大学卒業後、世界的冒険教育機関であるOBSの指導者コースJALT受講、その後、OBSインストラクターへ。OEC、国立青少年教育振興機構、市議会議員等を経て現在に至る。1971年静岡県出身。

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