圏外の価値

2020.01.14

お知らせ

 皆様は、スマホの電波やWiFiなどが届かない場所(いわゆる圏外)に行ったら、どう感じますか?

  不便だな…

  わからないことがあっても調べられない…

  誰かから連絡が来ていたらどうしよう…

  LINEきてるかな…

  オンラインゲームやりたいな…

  YouTubeどうなっているかな…

  インスタどうなっているかな…

などなど、不安やネガティブな感情を抱く方も多いのではないでしょうか?

 私も、日常生活の中で、急に圏外になるとネガティブな感情を持ってしまいます。しかし同時に、それが必要だという気持ちになることがあります。

 それはいったいなぜなのか?

 先日行ってきた、厳冬期の八ヶ岳登山にて、そんなことを考えたのでここに書きたいと思います。

圧倒的な圏外 

 昨年より、仕事仲間の先輩(http://kawaimunehiro.com/)に、冬山に連れて行ってもらっています。

 昨年も今年も、厳冬期の八ヶ岳での登山・アイスクライミング・キャンプと中々ハードな贅沢コースを味合わせて頂いています。

 雪山では、所々電波の入る場所はありますが基本的には圏外で、一歩間違えれば大怪我や死に繋がる状況や、目の前に広がる圧倒的な景色、体力の限界の中での自己対話など、そもそもスマホを見ようという気持ちにはなりません。

 正確には、スマホ(ネット)の中で起きていることに興味が向かないという表現の方が適切かもしれません。昨年に引き続き、今年も雪山に行こうと決めたのは、無意識にそんな環境を求めていたからだと思います。

意思が弱いから

 なぜそんな環境(圏外)を求めていたかと考えてみると、やはり自分の頭で考える時間と環境が必要だからだと思います。

 以前のブログ(『考える力と時間』)でも書きましたが、スマホとネットの発展により、情報やコンテンツが溢れかえり、自分の頭で思考する時間が減っていると感じています。

 私自身も、少しでも時間が空くとスマホで時間を浪費しているように思います。自分の意思の弱さが嫌になりますが、集中して思考しようとしても、ついついスマホを触っている自分もいます。勿論、スマホで多くの情報にアクセスし知識を増やしていくことは有益ですが、それがイコール考える力があるというわけではないと思います。意思の弱い自分のために、定期的に圧倒的な圏外という環境に飛び込んでいます。

動と静の意味

 それであれば、「何も雪山で登山なんかしなくても、電波の届かない場所や、スマホ・パソコンを家に置いてどこかに行けば良いじゃない」と言われそうですが、ここにも少し意味があります。登山をしながら、仕事仲間の先輩とも話をしていたのですが、動と静の繰り返しが重要だということです。単純に圏外の場所に行って、ボーッと何かを思考するのも良いのですが、思いっきり身体を動かしたり体力的に追い込まれた状況(動)と、そこからゆっくりした時間(静)を過ごすことで、思考の深まり方が全く違ってくるのです。

 ここは、数値的な検証や研究結果があるわけではないので、個人的な感覚値になってしまうのですが、自分自身の体感や、EECの研修プログラムを見ていても、動と静を繰り返すことで思考の深まりはかなり違います。一つの要因としては、動の中で自分と向き合わざるをえない状況があるからだと思います。

 今回の雪山登山では、体力的にキツイ場面もかなり多く、その都度自分自身と対話をしていました。「もうやめようかな…」「いや、もう少しいきたい!」「今リタイアしたら後でどう思うかな…」「やれば出来るもんだな!」などなど、自分の本音や本質が表出してきます。それを、静の中でゆっくりとふりかえり、普段の自分と比べたり整理することで思考が深まっていくのです。

 以前、EECの研修プログラム(【企業研修】チームリーダー研修)で、沢登りという活動の後にソロタイム(一人で1時間ほどゆっくりと自己対話する時間)を実施した際に、「贅沢な時間の使い方ができて良かった」と言って頂いたことがあります。

 いよいよ5G時代が到来しようとしている世の中ですが、我々が思っている以上に、ゆっくりと自分と向き合い・考える時間というものの確保が難しく、かつ貴重な時代になっているのかもしれません。今後EECでも、『デジタルデトックス』なんていうプログラムを実施したいなーなどと考えています。

 皆様も、時には圧倒的な圏外でゆっくりと自分と向き合ってみてはいかがでしょうか?

 ちなみに雪山では、考える時間と機会以外にも、魅力がまだまだ詰まっています。そのお話はまたどこかで!

 

投稿者プロフィール

田中翔紘
田中翔紘
代表取締役

幼少期からアルペンスキーの選手として活躍。
高校卒業後、単身アメリカColorado Mountain Collegeへ留学。スキー選手として世界を転戦しながら、野外教育を学ぶ。スキー選手を引退後、弊社代表取締役に就任。

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