今こそ、キャリア教育を考える | Essential Education Center

今こそ、キャリア教育を考える

2020年度から「新学習指導要領」に基づき、全校種でキャリア教育が本格的にスタートします。

キャリア教育とは、一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達を促す教育。

文部科学省 平成22年度第二次審議経過報告より

文部科学省のいう “キャリア教育” のステージは、学校において様々な教育活動を通して、一人ひとりの基礎的・汎用的能力の発達や育成、職業人としての自立を促すことが、キャリア教育の最大の目的としているのです。

「その違いがわからない」「同じものとして 認識されている」職業教育との違いは…

  • キャリア教育:「一人一人の社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度」
  • 職業教育:「一定又は特定の職業に従事するために必要な知識、技能、能力や態度」

教育活動で比較すると、

  • キャリア教育:普通教育・専門教育を問わず様々な教育活動の中で実施される(含む、職業教育)
  • 職業教育:具体の職業に関する教育を通して行われる。この教育は、社会的・職業的自立に向けて必要な基盤となる能力や態度を育成する上でも、極めて有効である。

職業教育は「具体的な職業人としての能力開発」なのに対しキャリア教育「職業教育を含んだ広意義での意識、知識、能力、技能開発」です。キャリア教育というベースに、一部、職業教育が載っかっているピラミッド構造です。

今、キャリア教育が注目されている

昔は人間の営みがすぐ近くにあり、日常生活の様々な場面において、子どもたちが主体的に生活の場面に参加できました。また、仕事自体も子どもの生活圏内にあったので、仕事をする大人へのあこがれ、きびしさなどが自然に醸成されました。

現代、地域社会が崩壊しつつあり、また家庭内も便利な製品に埋めつくされています。子どもが、日常的に生活場面に主体的に関わることがが少なくなりました。さらに、産業の細分化、分業化により、特に都市部では、仕事をしている大人の姿を目の当たりにすることも少なくなりました。

しかし、現代社会はインターネットやテレビを通じた情報が溢れています。そして産業の分業化、機械化、細分化によって大人と子どもの生活圏が住み分けされ、子どもたちが日常的に仕事をする大人の姿を目にする機会が少なくなっているのです。

実体験をもとにした職業観が身に付くことなく大人になる現代。学校で意識的に職業やキャリアを学ぶ機会を導入する必要があるのです。

一方で、情報化社会の中、不祥事を起こす企業や学校、それを糾弾するマスコミなどの情報が多く流され、とても目立つため、大人に対するあこがれが育ちにくくなっています。
そこで、様々な大人と、様々な場面で触れ合い、学びの意欲を育てる教育(=キャリア教育)が重要となります。

キャリア教育がめざすもの

キャリア教育で育成しようとしている力として「基礎的・汎用的能力」というものが提示されています。

基礎的・汎用的能とは?

  1. 人間関係形成・社会形成能力
  2. 自己理解・自己管理能力
  3. 課題 対応能力
  4. キャリアプランニング能力

キャリア発達に関わる諸能力(例)とは?

「基礎的、汎用的能力」と同様に、キャリア教育で育成しようとしている力として「キャリア発達に関わる諸能力(例)」(4領域8能力)というものがあります。

人間関係形成能力

  • 自他の理解能力
  • コミュニケーション能力

情報活用能力

  • 情報収集・探索能力
  • 職業理解能力

将来設計能力

  • 役割把握能力・認識能力
  • 計画実行能力

意思決定能力

  • 選択能力
  • 課題解決能力

各学校がキャリア教育で実現したいこと

「基礎的、汎用的能力」「キャリア発達に関わる諸能力(例)」(4領域8能力)を概観すると、職業教育という趣ではなく、極めて本質的な、全人的な教育であることがわかります。

また「基礎的、汎用的能力」「キャリア発達に関わる諸能力(例)」(4領域8能力)と発達段階を踏まえると、各学校がキャリア教育で実現したいことが見えてきます。

小学校:進路の探索・選択にかかる基盤形成

  • 自己及び他者への積極的関心の形成・発展
  • 身のまわりの仕事や環境への関心・意欲の向上
  • 夢や希望,憧れる自己イメージの獲得
  • 勤労を重んじ目標に向かって努力する態度の育成

中学校:現実的探索と暫定的選択

  • 肯定的自己理解と自己有用感の獲得
  • 興味・関心等に基づく勤労観・職業観の形成
  • 進路計画の立案と暫定的選択
  • 生き方や進路に関する現実的探索

高等学校:現実的探索・試行と社会的移行準備

  • 自己理解の深化と自己受容
  • 選択基準としての勤労観・職業観の確立
  • 将来設計の立案と社会的移行の準備
  • 進路の現実吟味と試行的参加

キャリア教育の広がり

「基礎的、汎用的能力」「キャリア発達に関わる諸能力(例)」(4領域8能力)から、キャリア教育により身につけたい力、めざすところが見えてきました。

それとは別にキャリア教育の効果として、小学校では、学びの重要性に気付く機会になり、意欲が向上したり、全体計画に重点目標・具体的目標を設定する必要性が認識されたりと言った効果が出ているようです。

中学校では、各教科や日々の活動を通して全校的な推進により、学習意欲・自己実現に向けての意欲が向上する結果が出ています。

高等学校では、事前指導とインターンシップ、事後指導を組み合わせたキャリア教育を導入した結果学習意欲が向上したという調査結果が出ています。また、インターンシップを行うだけでなく、

  • 事前指導:ワークシートやスケジュール管理、タスクリストの作成
  • 事後指導:グループワークや発表会による情報共有

を丁寧に行うことで就職や進学といった将来の進路に対する意識が向上し、学習意欲の向上を生み出すことが分かっています。

セルフデザインという新たなフレーム

キャリア教育

自分を取り巻くものとの関係をデザインする

自分との関係

自分と自分との関係づくりは、セルフデザインの中で最も重要な要素です。自分の価値観を自覚したり、思考や行動の基準、優先順位を理解したり、自分の欲求や本心と真摯に向き合ったりすることで、ブレない自分軸、太い芯が出来上がります。それが、セルフデザインのベースになります。

仲間との関係

学校であれ、企業であれ、志をともにする「仲間」がいるものです。「仲間」という言葉には、仲良し、友達というニュアンスが強く、慎重に扱う必要があります。学校で言ったらクラスメイト全員、企業で言ったら社員全員が「仲間」とは言い切れません。人が集えば、反りが合う、合わない、好き嫌い、価値観の相違は必ずあるものです。それは受け入れ「個を認め」つつ、切磋琢磨できたり、高め合ったり、刺激し合ったりできる「仲間」、困ったとき頼れる「仲間」との関係づくりもセルフデザインの要素です。

社会との関係

家庭、地域という身近なコミュニティとしての「社会」と国、国際社会という広義の「社会」と自分の関係もセルフデザインの要素となります。権利であったり、責任であったり自分が社会の一員としてどう振る舞うかをデザインすることは生き方に大きく影響します。選挙権が18歳から行使できるようになったことから政治の仕組み、税の仕組みなどの主権者教育は、学校教育におけるセルフデザインで重要な位置を占めています。

自分が歩んでいく未来をデザインする

自分の未来

身近なものであれば、進学や就職など節目で、どこで何を学ぶか?起業を含めどんな仕事をするか?など、自分の未来をデザインする機会があります。しかし、どれだけの人が自分自身で未来をデザインできているでしょう。特に学校の進路指導では「行きたい学校より、行ける学校」「行きたい学校より、行って欲しい学校」のような他人本位の進路選択がなされている様子を見聞きします。大きく夢を描く、在りたい自分をイメージする、自分の未来のデザインを自身に取り戻すことが必要です。

社会の未来

家庭、学校、地域など身近なコミュニティ、日本という比較的大きな社会の未来をイメージして、そうなったらいいなぁ…と願うだけではなく、どう行動し、どう協働していけばよいのか?どうしていきたいか?社会の未来とそこに至る道筋をデザインすることもセルフデザインの要素です。よりよい社会を実現することは、よりよく生きることそのものです。

地球の未来

SDGsに代表されるような地球規模の課題をどう捉えるか?原因をどう分析するか?その課題と自分がどう繋がっているか?その課題解決のために何ができるか?何をしなければいけないのか?など、複雑多岐にわたる事象を“自分ごと”として、デザインすることもセルフデザインの要素です。


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    この記事を書いた人

    鈴木 浩之(Hiroyuki,SUZUKI)
    有限会社エッセンシャルエデュケーションセンター Sales&Promotion担当マネージャー。
    大学卒業後、世界的冒険教育機関であるOBSの指導者コースJALT受講、その後、OBSインストラクターへ。OEC、国立青少年教育振興機構、市議会議員等を経て現在に至る。1971年静岡県出身。

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