【学校教育支援】多様性の中で生きる

 先日、ある高校で “教育・看護・福祉” に関係する分野への進学・就職を志望する生徒さんに向け、 “コミュニケーションの本質を考える” 研修会をさせていただきました。以前のブログ( “未来を生きる力”について )でも触れましたが、10~20年後に約49%の仕事がAIや機械に取って替わられると言われている時代…そんな、急激な変化の時代を生きていく高校生達が、自分らしく生きるために必要な「コミュニケーション」について、実習を通して考えました。

 それぞれの当たり前に気づく

 まず、自分自身を振り返るために、コミュニケーションにおける “発信” と “受信” に関する14の質問からなるアンケートに回答してもらいました。 “発信” とは、自分の中で感じたこと、考えたことを他者へ伝えることです。 “受信” とは、他者に対する感度、また他者から受けている影響のことです。

 発信、受信それぞれの質問で回答した数値の合計を発信エネルギー、受信エネルギーとし、その強弱を見える化し、共有しました。その後、発信エネルギーの数値順に一列に並び、それぞれの当たり前に気づき、多様性を体感する機会としました。発信エネルギーが弱い(数値が低い)側の生徒さんは「人前で話すのは苦手で、自分から話しかけたりしない」と、恥ずかしそうに話していましたし、発信エネルギーが強い(数値が高い)側の生徒さんは「人前で話す時、緊張はしない」と、大きな声で話していました。また、発信エネルギーの弱い側にいる友達に対して「そっちじゃないよねー」と、発信エネルギーの強い側から指摘があったり、発信エネルギーの弱い側から「いやぁ、実は人前で話すの苦手なんだよ…」と主張する場面があったりしました。普段から顔を合わせ、一緒に学校生活を送っている友達同士でも、それぞれの当たり前、当たり前の違いを理解することは、ハードルが高いことなのかもしれません。

当たり前の違いを受け入れて協働する

 発信エネルギーの数値順、発信エネルギーの強さが均等になるようにグループ分けを行い、グループワークを行いました。冒頭、意見を言いにくいと思っている人(発信エネルギーが弱い人)には、感じたこと、考えたことを声に出してメンバーに伝えてみること、いつもたくさん意見を言う人(発信エネルギーが強い人)には、少し待って、他者の意見に耳を傾けてみることをこちらから提案しました。しかし、課題に集中すればするほど、発信エネルギーが弱い、強いというそれぞれの当たり前に従った、発信エネルギーの使い方、コミュニケーションをしている様子がみられました。発信エネルギーが強い人は積極的、自己主張ができる、リーダーシップを発揮できるなどとして評価されることが多く、逆に発信エネルギーが弱い人は、消極的、引っ込み思案などという評価につながり、どうしても強い=良い、弱い=悪いというところに落ち着いてしまいます。しかし、発信エネルギーの強弱は、特性の違いであるだけで、人物としての評価とは別次元であるはずです。苦手でぎこちないかもしれませんが、その場の状況に合わせ、逆サイドに振る柔軟性が、当たり前の違いを理解し、それを受け入れて協働していくためには、必要になってくるチカラだと感じました。

■ 多様性の中で生きる

 10~20年後に約49%の仕事がAIや機械に取って替わられると言われている時代…それでも残っていく仕事は何なのか?今は存在しない仕事がどんどん創造されていくのか?AIが不得意・苦手なことと言えば、未来から物事を予測したり、前例のないことをやったりなど、全く新しい創造性を発揮することだそうです。また、人の感情を察し、相手に働きかける「ホスピタリティ」が求められる仕事は、やはりAIより人間の方が得意であり、人間にしかできないものです。

 ダイバーシティー(diversity)という言葉をビジネス雑誌などで目にする機会が増えてきました。ダイバーシティーは、通常「多様性」と訳され、企経営においては人種・国籍・性・年齢は問わずに人材活用する「人材と働き方の多様化」を指します。異質の人を組み合わせることで、組織やチームのパフォーマンス向上につながり、今までにない画期的な製品や新しい仕組みといったものを創造する、異なる意見やアイデアがぶつかり合った中からイノベーションが生じやすいからです。また、ビジネス分野だけではなく、様々な分野で、「違いを理解し、受容する」という理念であったり、「違いを理解し、受容した上で協働する」という環境や人々の姿勢など多様な使われ方をしています。

 「自分がされて嬉しい事をする」では、自分自身の当たり前の枠を飛び出せません。多様性の中で生きていくためには、相手の当たり前を理解し、それを受け入れるために「相手が嬉しいと思うことをする」という意識が必要です。相手と接することで相手の思いを感じ、どうしたら相手にとって良いのかを考え行動するということは、おそらくAIや機械には出来ない、人間の強みであると思います。これからの時代を生きる彼らには、『人にしか出来ないこと』『自分にしか出来ないこと』を見つけ、自分らしく生きていってほしいと思います。そして、高校の3年間がそれを思い切り探求できる素晴らしい時間・空間であることを願っています。

この記事を書いた人

鈴木 浩之(Hiroyuki,SUZUKI)
有限会社エッセンシャルエデュケーションセンター Sales&Promotion担当マネージャー。
大学卒業後、世界的冒険教育機関であるOBSの指導者コースJALT受講、その後、OBSインストラクターへ。OEC、国立青少年教育振興機構、市議会議員等を経て現在に至る。1971年静岡県出身。

シェアする