教えない教育
2019.12.18
EECは、“教育” の会社です。では改めて、“教育” とはいったい何を指すのでしょうか?
今の社会には、数多くの教育が存在しています。幼児教育や学校教育、社会人教育、生涯教育、近年ではリカレント教育など。モンテッソーリ教育、シュタイナー教育、オルタナティブ教育など、手法や仕組み、考え方まで入れてカテゴライズすると無限にあると言えます。広辞苑で「教育」という言葉を調べると、次のように説明されています。※一部抜粋
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きょう-いく【教育】
教え育てること。人を教えて知能をつけること。
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では、無限にある教育の中で、「教えること」は、全ての教育に共通の絶対的な行為なのでしょうか?
我々EECは、前述の広辞苑による教育の説明(教えること)は、教育の一側面でしかないと考えています。今回は、EECの考える、“教育” について、少しお話ししたいと思います。
教えることの価値
まず、「教える」という考え方の基本的な構造は、『教える人』と『教わる人』の区分けです。(一般的なイメージでいうと、大人と子供、上司と部下、先生と生徒のようなイメージでしょうか?)
この構造が上手く機能する前提には、『教える人』が『教わる人』の持っていない情報や知識、スキルを持っている、または『教える人』が正解を持っているということにあります。
しかし、今の社会においては、情報や知識、スキルはかなりの量に、誰でもすぐにアクセス出来る状況です。(ひと昔前は、専門家に教えてもらわないと知ることが出来なかった情報でも、ネット経由でどこにいても瞬間にアクセス出来ます。)既存の情報や知識、スキルを「教える」ことの価値が下がってきているということです。
更に、これだけ時代のスピードが上がると、今年の正解が来年の正解であるとは限らないのです。つまり、教えることの出来ない状況が確実に増えているということです。これが、教えることは教育の一側面にしか過ぎないという理由の一つです。
教えることの弊害
もう一つ、大切なポイントとして、教えることにも弊害があるということです。一般的に、“教える” ことは、良いことだと捉えられていると思いますが、必ずしもそうではない場面を数多く見てきました。
EECの体験型のプログラムの一つに『ウォール(高さ4mの壁をグループで乗り越える)』というものがあります。その課題にグループが対峙すると、様々なことを試行錯誤しながらトライ&エラーを繰り返します。
「誰が先に登る?どんな形で登る?こんな方法でやってみる?」などなど。
その際、オブザーバー(グループのメンバーやスタッフではない方)が横からアドバイスをしてしまうことがあります。 例えば、そのアドバイスの結果、グループが『ウォール』という課題を達成したとします。一見、課題が解決出来て良かった!となりそうなのですが、果たしてそうでしょうか?
見方を変えると、グループのメンバーは、教えられたことで自分達で考える機会を一つ失っています。言い換えると、“考える力を育む機会” を奪っているということですね。
上記は少し極端な例ですが、様々な場面で、教えることで考える機会を奪ってしまっている様子を見ます。
今の時代、正解を教えることよりも、考える力をつける方が価値があると思います。(そもそも絶対的な正解などない)これが、教えることは教育の一側面にしか過ぎないというもう一つの理由です。
“考え、実行する機会・場を創る” ということが、EECにとっての教育の大きな軸になっています。
※『教育(Essential Education)の力で世界をhappyに』もご覧ください。
教えない教育
教えることだけが教育ではない、なんとなくイメージして頂いた方もいると思うのですが、教えないという行為は、意外と実行するのが難しかったりします。なぜなら、良かれと思って教えているからです。
『ウォール』でのアドバイスも、良かれと思ってのアドバイスです。教える人に、悪気はないのです。しかし、そこが最大の難点でもあります。
先日、私自身もドキッとしたことがありました。知り合いが主催したあるセミナーで、お手伝いをしたのですが、「教え過ぎ」とフィードバックされてしまいました。勿論、良かれと思ってやっていた行為に対してです。
これだけ教えない教育と言っていながら、私自身が、人の考える機会を奪っていたのです。。改めて、「教えない」ということの難しさを実感しました。
最後に誤解無いように、教えることが必要無いと言っているわけではありません。時には教えることも必要。しかし、それだけではないよねという話です。
大人や上司や教師、我々のように教育に携わる人は、教えるという意識ではなく、共に学んでいくというスタンスを持てると、共に成長していけるのではないでしょうか。
投稿者プロフィール
- 代表取締役
幼少期からアルペンスキーの選手として活躍。
高校卒業後、単身アメリカColorado Mountain Collegeへ留学。スキー選手として世界を転戦しながら、野外教育を学ぶ。スキー選手を引退後、弊社代表取締役に就任。
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