教育界の危機 “教員不足”を乗り越える | Essential Education Center

教育界の危機 “教員不足”を乗り越える

先月末、本年度の始業式時点、公立の小中学校や高校、特別支援学校などで2,000人以上教員が足りていないと、文部科学省が発表しました。

教員不足が学校現場に与える影響が多大であることは誰しも容易に想像できます。小中学校は日本国民であれば必ず通り、その人の考える力、学ぶ姿勢、基礎学力、人格形成、人間関係構築力など、“自分らしく生きる”ための基盤を築く重要な場です。

今回は、今かなりの変動が起きていてる“学校現場”へ目を向けていきたいと思います。

教員不足の要因

少子化のこの時代に、学校の先生が足りていない?子どもが少なくなれば、先生が余ってしまうのでは?先日の文科省の発表は、なかなか素直に受け入れられるものではありません。「若者の教員離れ」が教員不足の主な要因として論じているメディアもありました。教員不足の要因について、考えてみます。

現教員が思う教員不足の要因

文部科学省が11の都道府県・指定都市の協力を得て行った調査では、現教員が思う教員不足の要因として、以下3つが圧倒的に多くあげられています。

  •  「産休・育休者の増加」
  •  「特別支援学級数の増加」
  •  「病気休養者の増加」

「産休・育休者の増加」については、増加することが悪いことではないと思います。むしろ、しっかり産休・育休が取れることで、現場へ復帰出来る可能性も高くなります。一方で、産休・育休を取れるようにしたり、他の休日も推進したは良いものの、サポートできる仕組みが完全に出来ていないことに課題があるのだと思います。

第三者が思う教員不足の要因

令和三年度の教員採用試験で、小学校の採用倍率は全国平均で2.6倍と過去最低を更新しました。また、近年のニュースで取り上げられる教員の働き方(主に労働時間)の問題で「先生は多忙だ」、「(誤解を恐れずにいうと)ブラックだ」というイメージがついてしまっていることが影響しているのではないかと思います。しかし、今の学校現場では「多忙」であることは間違いないでしょう。

例えば小学校6年生の担任なら、朝8時すぎに子どもが登校してからずっと授業をし、子どもが下校するのが16時くらいになります。教員の場合、労働基準法に照らせば、終業時刻は16時15分までです(教員は現状では、人手不足で労働基準法で規定された45分の休憩すら日中にとることができない。昼食中でさえ、給食の配膳指導や食育の指導、急性食物アレルギー反応への備えなどの重要な職務があって、子どもから離れて休憩などできないからだ。だから理論上は、17時から45分前倒しした16時15分が終業予定時刻という計算になる)。授業の準備だけに限定したって、1日8時間で終わることは無いように思います。

1コマ45分の授業×6コマ×週5日準備するのに、一体どれくらいの時間がかかるのでしょう。会社や営業先で45分のプレゼンテーションをするのに、いったいどれくらい時間をかけて準備しているか、置き換えて考えてみるとお分かりいただけるのではないかと思います。

教員不足どのよう解決するのか

教員不足が問題となっているのは、日本だけではありません。あの「世界一子どもが幸せな国 オランダ」で問題となり、2019年にはストライキも起きています。教員不足の要因は日本と似たような状況です。とりわけ「仕事量や責任の重さと給与が見合っていない」という訴えがあったと言われています。では、そのオランダでは現状を打破するためにどのようなことに取り組んだのでしょうか。

IT化で解決する

コロナウイルスの流行により、日本も加速した「オンライン授業」や「一人一台のPCやタブレットの活用」。オランダは教育現場において世界一電子タブレットを使う国だと言われています。オンライン授業や各教室への電子黒板は当たり前です。機器の導入においてはしっかり体制が整っている印象を受けます。

第三者と学校のコラボレーションで解決する

先生の負担を減らすことやIT化が進み人が余っている企業の対策などの目的で、人材派遣が行われています。両者の課題を解決する良い方法であると思います。企業で働いている人、すなわち何かのプロ(本物)と直接関われることや学べることは、子どもたちにとっても価値観や視野が広がるなど良い影響があると思います。

日本でも新学習指導要領で「社会に開かれた教育課程」の実現が求められています。社会のつながりの中で学ぶことで、学校だけでは感じられない刺激を受け、自分の力で人生や社会を“自分らしく生きる”一助になるのでは無いかと思います。

EECでも、多くの学校と関わり“刺激”を与え、また学校から“刺激”を受けています。特に、近年注目されている「キャリア教育」という観点で永くプログラムを提供させて頂いています。最新プレスリリース『高校生は、キャリア教育としての「自己探求」を求めている。高校生自身が指針を探す、創る “自己探究型キャリア教育” とは?』

第三者が関わることは、子どもにとっても、先生にとってもメリットがあるように思います。

教職の魅力を高める

最後に、教員不足を打開するためには、教職の魅力を高めて「教職に就きたい」という人材を増やすことが重要であると思っています。

子どもがほぼ毎日接する“先生”が生き生きと楽しそうに働いていたり、先生が心身共に余裕を持ち、子ども自身が「しっかりと自分の内面を見てサポートしてくれている」と感じれば、自ずと教職に魅了を感じるのではないでしょうか。

これらの問題には、国の物理的・金銭的サポートが大きく関わってきます。ですが、「現場では解決できない」と諦めることなく、学校外の何かに頼って頂ければと思います。学校では、先生(人)にしかできない児童生徒に必要なことがあるはずです。

この記事を書いた人

副島理恵子(Rieko,SOEJIMA)
有限会社エッセンシャルエデュケーションセンター EE事業部ディレクター。長崎純心大学在学中は、社会福祉の分野を専攻しながら、野外教育の指導ボランティアを経験。大学卒業後、本格的に野外教育の世界へ。1989年長崎県出身。

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