Z世代とのコミュニケーション
2022.07.28
Z世代とは、1990年後半から2010年くらいまでに生まれた人を指す言葉です。現在、中学生〜30歳手前、大卒で社会人になり、5年目くらいまでの人です。分野によっては「青少年」に位置づけられる世代です。
この世代は、「教育」「育成」などの営みが、その後の生き方に大きく関わる世代とも言えます。「世代」で人を括り、語ることはこの多様性の時代、ナンセンスな行為かもしれませんが、社会は、人に大きな影響を与えます。
「教育」「育成」に関わる者として、自分たちとは違う世代の人達が、どんな世の中を生き、どんな影響を受けてきたのかを知ることが、全く無益であるとも言えません。
Z世代とのコミュニケーション
Z世代やミレニアル世代は、「親の影響で自分が何かを始めた/買った」割合が高い一方、「自分の影響で親が何かを始めた/買った」割合も上の世代の親子関係より高くなっているそうです。
これは親子関係が昔に比べて兄弟姉妹や友人のように近しくなっていることが影響していると考えられます。ここでいう親世代とは、若い頃がバブル期で、多彩な消費を謳歌したバブル世代です。スマートフォンはバブル世代である親が子どもと同じ機種を購入し、子どもに新しい活用法を聞くのはよく聞く話です。
学校の先生と児童・生徒の関係も、昔に比べて兄弟姉妹や友人のように近く、親しくなっていると考えられます。現役の先生から、「これまでのような生徒指導ができないし、通じない」であったり、「叱ることができないので、外部の大人代わりに叱ってほしい」と悩み、嘆きを聴くことがあります。
やはり、お互いが歩み寄る意識・姿勢が必要だと思います。いつの時代も、上の世代は、下の世代を見て「わからない」と嘆き、「自分が若い頃は…」と遠くを見る。そして、下の世代は、上の世代を見て「わかってくれない」と嘆き、「古い、時代遅れ」と諦める。
時代の変化スピードが早い、今だからこそ、温故知新、「老いては子に従え」みたいな精神をそれぞれが持ちたいものです。そこには、自分自身に対するリスペクト、年代に関係なく他者に対するリスペクトが必要です。古い「指導」は、大人と子ども、若者の主従関係で成り立っていたのかもしれません。
大人の子ども、若者に対するリスペクトが足りなかったとも言えます。「デジタル」が生活の隅々にまで、浸透している時代。デジタルネイティブ、Z世代をリスペクトする(理解しようと試みる)ところから始めましょう。
Z世代とは?
Z世代とは、1990年後半から2010年くらいまでに生まれた人を指す言葉です。主に1960~70年代に生まれた人をX世代、80~90年代に生まれた人をY世代(ミレニアル世代)と呼び、「X」と「Y」の次世代という点から「Z」という名称が付けられました。
Z世代という言葉が生まれたのはアメリカです。もともとアメリカでは、1960~70年代に生まれた人をX世代、通称「ジェネレーションX」と呼んでいました。日本では、バブル崩壊後の就職難を経験した団塊ジュニア・真性団塊ジュニア世代がここに当たるでしょうか?
その後、約10年単位で誕生する次世代をアルファベット順に呼び、ミレニアル世代であるY世代の次に「Z世代」が現れた形です。
物心がついたときからすでにスマホ(2008年にApple社の「iPhone」が発売)、インターネット(2003年に家庭向けの光回線が登場、日本におけるインターネットの人口普及率 64.3%)は日常。デジタル技術が発達しており、インターネットやオンラインの世界に慣れ親しんでいるという点が特徴です。Web検索を巧みに使って情報収集をし、主なコミュニケーションはSNSで行うなど、ライフスタイルの中心にデジタル技術が存在していることが分かります。
不況な時代に育ったことから現実的で、ブランドよりも質の高いもの、自分らしさを表現できるものを好むといった傾向があると言われています。YouTuberやTik Toker、起業する方がいることや、一つの企業で定年を迎える事にこだわらない傾向もZ世代の特徴かもしれません。
Z世代は、世界中にある多様な価値観に触れる機会がある世代なので、多様性への理解を当然のことと感じています。
それは、自分の価値観に対しても同じで、自分らしさを尊重する傾向が強く、ブランドをコンセプトとして評価します。ブランドの規模やステイタスに関係なく、自分に合っていると感じれば柔軟に受け入れるようです。
Z世代が上司に期待すること
リクルートソリューションズマネジメントの調査では、2021年 新入社員へ「あなたが上司に期待することは?」という質問をしています。
1位:相手の意見や考え方に耳を傾けること
2位:一人ひとりに対して丁寧に指導すること
3位:好き嫌いで判断をしないこと
4位:よいこと・よい仕事をほめること
その他、10年前と比較すると「仕事に情熱を持って取り組むこと」「周囲を引っ張るリーダーシップ」「言うべきことは言い、厳しく指導すること」が10ポイント前後下がっていることも世代や時代を表す結果であると感じます。
ミレニアル世代との違いは?
ミレニアル世代とは? 1981年以降に生まれた世代で、20代前半~30代後半くらいに相当します。 特徴はデジタルネイティブである点です。 またミレニアル世代は、金融危機や格差社会など厳しい社会情勢に身を置いているため、ほかの世代とは違った価値観や経済感覚を持っています「Z世代」はミレニアル世代と生まれた年代が異なるだけではなく、価値観においても大きな違いがあります。
ミレニアル世代と比較した場合、Z世代の価値観の特徴は以下の通りです。
・比較的ミレニアル世代もデジタルに強いが、Z世代はそれ以上 ・デジタルに馴染みやすいZ世代だが警戒心も強い ・自分らしさを表現できる商品を好む ・デジタルの世界に馴染んでいるだけあり、リアルな体験への憧れが強い
マーケティングを実施する際、購買意欲にあふれるZ世代をターゲットにするケースも珍しくありません。そしてターゲットを設定する際は、上記のようなZ世代特有の価値観を理解しておくことが重要です。
しかし、「教育」「育成」(「政治」も含まれる)に関わる人は、X世代か、それ以上の年齢の方が中心になっています。オンライン授業、サーバーセキュリティなど「デジタル」に関わる分野に長けている人はごく僅かです。ここは、Y世代、X世代に教えを請うくらいの意識・姿勢が必要だと思います。(筆者も、1971年生まれの50歳。「X世代」としては、デジタル分野に頑張ってついていっている方だとは思いますが、デジタルネイティブには敵いません。)
Z世代の価値観
Z世代のライフスタイルの中心にはインターネットがあります。幼い頃からPCやスマホといったデジタル製品に囲まれて暮らしていたZ世代にとっては、インターネットを使った情報収集やコミュニケーションは当たり前の行動だと言えます。
しかし、慣れ親しんだ環境にいるからと言って、必ずしも完全に心を開くわけではありません。リテラシーが高い分、ネットトラブルや犯罪など負の側面についての知識も豊富です。商品購入を決断する際でも、まずSNSなどで情報を調べたうえで、十分に納得してから購入する傾向にあります。これまでの世代に比べると決断が慎重だと言えるでしょう。
また、Z世代はパーソナライズされた商品を好む傾向にあります。Z世代の嗜好の傾向として、自分らしさを表現できる商品を選びやすい点が挙げられるからです。
多様な価値観を認める個人主義
Z世代はインターネットやSNSで多くの人種、経験を持つ人と触れ合うことができる世代と言われています。 多様な価値観を持つ人と接する機会が多いため、多様性やダイバーシティの価値観が強い点が特徴です。
そのため、性別やブランドといった昔からある価値観よりも、自分の心地よさや気に入るかどうかを重視します。
他人からの評価に敏感
個人の価値観を重要視するZ世代でも、他人の目や対人関係は気にしないかといえば、そうとは言い切れません。
Z世代はSNSが近い環境で成長してきた世代です。そのため、親と仲間との関係性を重視しているほか、他人から認められることにも執着があると言われています。
人から認められたいと感じることは良い面もありますが、一方で他人からの評価を気にしてしまいがちな側面もあるかもしれません。
SDGsや社会問題に強い関心がある
Z世代は、社会問題への関心が強いことも特徴です。これは、成長期にリーマンショックや震災に触れていることが理由と考えられています。また、バブル崩壊後に生まれているため、将来をあまり楽観視しない傾向があります。
近年、災害からの復興や、環境問題への社会的な取り組みが進むようになりました。SNSやインターネットを通じた問題提起が手軽になり、個人であっても世界に向けて発信できるようになったことも社会問題への関心につながっています。
Z世代は、貧困や環境といった社会問題を他人事と考えない、自分の問題として考えて自分にできる行動に移すことができる世代と言われています。
マスメディアを離れインターネット中心の情報収集
生まれた時からインターネットやSNSがあるZ世代は、情報へのリテラシーと警戒心も強い傾向があります。
マスメディアへの信頼は薄く、情報収集はインターネット中心でいくつかのニュースやサイトを参考にします。
ほかの世代に比べて、誰のどの意見を信じるかを決断するのに慎重になりやすい点も特徴です。また、信憑性がない情報や信頼できない商品に対して厳しい態度をとるので、信頼できる情報の提供に努めましょう。
そんな「Z世代」のコミュニケーション
Z世代は10代でスマホの誕生に遭遇しています。ミレニアル世代が10代でケータイからネットの世界に入っていったのに対し、Z世代は10代からスマホに接し、SNSが水や空気のように当たり前に存在する環境下で育ちました。
ミレニアル世代は身近でリアルな友達とつながり、利用するSNSも知っている人から承認を受けて始めるようなサービスが中心でしたが、Z世代はより多様なSNS、例えばTwitterやInstagramを使い、リアルで会ったことのない人も含めたより広い世界とつながりコミュニケーションを図っています。
また、Z世代はYouTubeなどの動画サービスの影響も強く受け、動画を通したコミュニケーションも活発で、一日中動画漬けといったライフスタイルの人も現れました。
GoogleやYahoo!で検索する代わりに「いきなりYouTubeで検索」といった行動も、この世代を含めて浸透してきています。
コミュニケーションツール、スタイルの違いについてまずは受け入れるところから始めましょう。こんな話を聞いたことがあります。「野球」の指導者の話です。投球フォーム、バッティングフォームなどは、研究がしつくされ、その情報が「動画」として、インターネット上に溢れているので、いわゆる「指導」や「アドバイス」が、なかなか選手に入っていかないそうです。自分らしさを嗜好する世代であるにも関わらず、投球フォーム、バッティングフォームは「誰かに似ている」そうです。多くの優れた選択肢の中で自分にあっているものを選択しているに過ぎない…のかもしれません。
野茂選手のトルネード投法、イチロー選手の振り子打法などなど、特徴的、個性的なスタイルは、野球に限らず、この先、出てこないかもしれません。
EECでは、対面・集合の研修だけでなく、オンラインでの研修・授業でも「体験」をベースに学びをデザインします。お気軽にお問い合わせください。
投稿者プロフィール
- Sales&Promotion担当マネージャー
大学卒業後、世界的冒険教育機関であるOBSの指導者コースJALT受講、その後、OBSインストラクターへ。
EECの前身であるOECに参画、国立青少年教育振興機構「中央青少年交流の家」、市議会議員を経て現在に至る。
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