ユニセフ報告書「レポートカード16」に見る闇と光

 今週、二つの台風が日本に近づきました。まずは被害にあわれた方々、地域の皆さんにお見舞い申し上げます。台風が通過し、酷暑から一転、少しだけ涼しくなりました。

 今回は、台風が来る前の9月3日にユニセフから発表された「レポートカード16」、「子どもの幸福度」について考えてみたいと思います。

日本の「子どもの幸福度」最低水準

 今回の調査「レポートカード16」の結果が発表された時、いろいろなメディアでセンセーショナルに報道されたので、皆さんも概要は耳にしているかもしれません。

 今回の調査では、日本の「子どもの幸福度」の総合順位は20位(38カ国中)でした。その中身は

  • 精神的幸福度:37位(生活満足度が高い子どもの割合、自殺率)、
  • 身体的健康:1位(子どもの死亡率、過体重・肥満の子どもの割合)
  • スキル:27位(読解力・数学分野の学力、社会的スキル)

 身体的健康が1位なのに対して、精神的幸福度はワースト2位…。この結果(報道)に対して、「やっぱり…」とか「驚いた!」など反応は様々だと思います。

 調査の内容を細かく見ていかなければなりませんが、恐らく世間一般の大人よりもたくさんの子ども達に会い、“教育” に興味関心があり、時としてクリティカルな視点で “教育” 界隈の情報に触れている私個人の肌感覚からは、「やっぱり…」というのが正直なところです。

精神的幸福度の中身

 「精神的幸福度」は、15歳時点での生活の満足度の調査結果や若者の自殺率などから算出した結果、38カ国中37位だったそうです。ちなみに「精神的幸福度」の1位がオランダ、38位がニュージーランド。(ニュージーランドは、外から見える国の印象とこの結果が私の中ではリンクしません。何が影響しているのでしょう?)

 15歳の子どもの生活満足度が高い割合はオランダが90%と最高で、最下位がトルコの53%。日本は62%。15~19歳の10万人当たりの自殺率は、ギリシャは1.4人と最少で、日本はその約5倍の7.5人だそうです。これはやはりショッキングな事実です。

 別の調査では、“日本に暮らす18〜22歳の若者のうち、4人に1人が自殺を本気で考えたことがあり、10人に1人が自殺未遂を経験したことがある。そして、その原因の半数が学校問題を占め、さらにその半数は「いじめ」が原因である”という結果が出ています。

 日本における若者の死因で最も多いのが自殺という事実。これは、先進7カ国の中で突出して高く、若者の死因の1位が自殺であるのは日本のみ。この事実をどう捉え、どう対応していくのか?日本社会に投げかけられた最大の課題であるように思います。

学び、成長、可能性を拡げる場?

 日本人のほとんどは小学校、中学校、高校と12年もの長い時間、“学校”という場で学びます。幼児教育や大学・大学院などを含めるとそれ以上の長い時間、“学校”という場で学ぶ人もいます。その場で起こっていることが、日本の若者の自殺の原因の多くを占めるとは…

 “学校” が唯一の学びの場という時代ではありませんが、一体、学校で何が起こっているのでしょう。

 顕在化しているものとしてはやはり「いじめ」(いじめが起こる構造的な問題)ということが大きいと思います。多様性を認められない学校社会の構造。ブラック校則に代表される理不尽なルール、横並び意識と「みんな一緒」という同調圧などなど、またそこからのエスケープとしての「不登校」を容認できない社会構造(代替システムの不足)も追い込まれることに繋がると思います。 

多様性×可能性=幸福

 最近、「多様性」という言葉は、いろいろな文脈で語られるようになりました。しかし、その背景には、少数派に対する配慮、少数派を排除しないといった文脈が多いような気がします。

 しかし、本来は個性、自分らしさ、生活、能力、可能性は一人ひとり違います。「多様性」は、一人ひとり違うものをどう認め合うか?ということに尽きる気がします。「少数派」とセットで語られる必要も一部有るとは思いますが、少数か多数かは問題の本質ではないと思います。

 もしかしたら、個性、自分らしさ、可能性などなどを周囲に合わせる、周囲の同調圧に潰される、自分自身で見て見ぬ振りをする…そんな空気が多数派を形成しているのかもしれません。

 「多様性」とは、言い換えればその人の可能性だと思います。自分らしさ、自分の強みを知り、それを活かすということは、可能性を発揮することであり、幸福なことです。

 それぞれが幸福を感じられるような社会。これからみんなで作っていきたいものです。今回取り上げたユニセフの報告書「レポートカード16」の結果に触れ、改めて『エッセンシャルエデュケーションの力で世界をHappyに!』という言葉が、自分に還ってきました。

この記事を書いた人

鈴木 浩之(Hiroyuki,SUZUKI)
有限会社エッセンシャルエデュケーションセンター Sales&Promotion担当マネージャー。
大学卒業後、世界的冒険教育機関であるOBSの指導者コースJALT受講、その後、OBSインストラクターへ。OEC、国立青少年教育振興機構、市議会議員等を経て現在に至る。1971年静岡県出身。

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