ビジネス現場において、またスポーツや学校、地域社会においても、我々は多くの活動をチーム(集団)で行っています。それは、個人ではできなくとも、チームであればできることが数多く存在するからです。
“チーム(英: team):活動をともに行う集団。”
では、個人ではなく集団になれば、全て上手くいくのでしょうか?
皆さまがご存知(実感)の通り、そう簡単な話ではありません。
ただ単に集団を作ったからと言って、すぐに成果に直結するとは限らないのです。もしかしたら個人で行う方が成果が出ている、なんてこともザラにあります。
チームとしてより良い成果を出すためには、しっかりとチームを作っていかなければなりません。今回は、そのための一つの方法でもある『チームビルディング』についてご紹介します。
目次
『チームビルディング』とは?
『チームビルディング(team building)』は日本語に訳すと、「チームを作る(構築する)」という意味になります。チームメンバーのスキルや能力、経験が最大限に発揮され、成果を出せるチームを作り上げていくための取り組みを指します。
また、チームを作るために行うワークやプログラム、今よりも優れたチームを構築するための研修、業務のコミュニケーションといった具体的な方法も含めて『チームビルディング』と呼ぶこともあります。
『チームビルディング』と『チームワーク』の違い
『チームワーク』とは、複数のメンバーがチームとして活動する際に発生する力のことをいいます。また『チームワーク』は、チームとして活動する際に発生する力のことを指すため、メンバーの成長や相乗効果というプロセスにはあまりフォーカスされません。
『チームビルディング』を行う際の注意点
『チームビルディング』を行う際の注意点をご紹介します。
注意点①:強制し過ぎない
『チームビルディング』は、ある意味でメンバーに対する強制的な働きかけではありますが、その働きかけが強すぎると、メンバーは次第に疲弊し、やる気を失ってしまいます。そのため、メンバー一人ひとりが自主的に行動できる設計にすることが重要です。『チームビルディング』を実際に行う際は、メンバーに現状や取り組みたいことをヒアリングしてみるのがいいでしょう。
注意点②:チームの成熟度を考慮する
一概に『チームビルディング』と言っても、チームの成熟度やメンバーの状況によって、必要な内容は様々です。後述する、チームの5段階プロセス「タックマンモデル」や、専門家によるチーム分析などを参考にすると良いでしょう。
注意点③:チーム編成に気を配る
チームは、ただ単にチームに必要な人数を確保するだけでは、十分な成果は生まれません。重要なのは、一人ひとりの能力やメンバー同士の人間関係を考えた上でのチーム編成を行うことです。適性を誤った配置は、メンバー同士の対立やチーム内のパフォーマンス低下を生むことになりかねません。頻繁に対立が見られる場合は、チーム編成に問題がある可能性があります。メンバーの入れ替えを検討するようにしましょう。
『チームビルディング』の要素
①コミュニケーションの活性化
チームが機能していない要因やエラーが起きる原因の多くに「コミュニケーション」ということが上げられます。『チームビルディング』では、メンバー同士のコミュニケーションの活性化は大切な要素になります。
②心理的安全性
「心理的安全性」とは、“チームにおいて、他のメンバーが自分が発言することを恥じたり、拒絶したり、罰をあたえるようなことをしないという確信をもっている状態であり、チームは対人リスクをとるのに安全な場所であるとの信念がメンバー間で共有された状態” と定義されています。
2016年、Googleのプロジェクトチーム(Project Aristotle)によって「心理的安全性こそがチームの生産性を高める成功因子である」というリサーチ結果が発表され注目を集めました。
(参考:心理的安全性という心理的不安…)
③相互理解
チームメンバーのスキルや能力、経験が最大限に発揮するためには、互いの得意不得意や特性を理解する必要があります。
(参考:多様性 EG®︎「全てのプロファイルはパーフェクト」)
④マインドセット
チームのメンバー一人ひとりがどれだけ優秀でも、バラバラな方向を向いていては、チームとして成果を上げることは困難です。メンバー全員がこのチームで目標を達成したい、というマインドを持つことが重要です。
チームの5段階プロセス「タックマンモデル」
ここでは、『チームビルディング』をより効果的に行うために、チームの現状や今後のステップを把握することができる「タックマンモデル」をご紹介します。
「タックマンモデル」とは、チームの状態を5段階に分けて説明しています。
①形成期
形成期は、チームが作られはじめたばかりの段階を表します。
この段階は、メンバー同士の理解が不十分で、チームの目標も不確かなため、チーム内には緊張感があります。チームのメンバーは、互いに様子を見ており、遠慮をしながら相手を探っている段階です。
次の段階に移行するためには、メンバー間の相互理解と目標の共有が必要になります。
②混乱期
混乱期は、チームの共通目標が明確化され、それに対して意見が乱立し、軋轢や抵抗が出てくる段階を表します。
次の段階に移行するためには、意見の対立を恐れずに議論を通じて、相互の理解を深めていくことが必要になります。
③統一期
統一期は、意見を出し合ったことでお互いの価値観や考え方への理解が深まり、チームが安定に向かう段階を表します。この段階になると、チームの目標やその達成に向けた1人ひとりの役割がメンバー同士で共有できているため、チームにまとまりがあります。
次の段階に移行するためには、メンバーの個性を活かした役割分担や全員が納得できる高いチーム目標の設定など、全員が主体的に動くことがが必要になります。
④機能期
機能期は、個人の能力を発揮しながらも、チームとして機能している段階を表します。
この段階になると、メンバーがそれぞれの役割を全うするだけでなく、チームのメンバー同士でフォローが生まれるようになります。メンバー全員が同じ目的意識を持って能動的に動いており、チームの団結力はこれまでで最も高い状態です。また、機能期はチーム目標に対する成果が明確に生まれ始める段階でもあります。機能期を持続させるためには、リーダーによるメンバーへのサポートやチームワークを高めるアクティビティの実施などが効果的です。
⑤散会期
散会期は、プロジェクトの終了やメンバーの異動により、チームとしての活動が終わる段階を表します。
チームビルディングが成功したかどうかは、この時期のメンバーの反応で判断できます。
解散を惜しむ声やメンバー同士で称えあう姿が見られるようであれば、良いチームが作れた、『チームビルディング』は成功したと言えるでしょう。
「タックマンモデル」などを利用し、チームの現状を確認することで、目標達成のために必要なことや、効果的な『チームビルディング』を検討することができます。
EECの体験型『チームビルディング』
EECでは、ヒアリングや意識調査をベースに、チームとメンバーの現状を分析し、EEモデルに沿ったオーダーメイドの『チームビルディング』プログラムを提供しています。
(参考:エッセンシャルエデュケーションモデル)
中でも特徴的なのは、“非日常” の体験を用いる点です。“非日常” の体験を用いることで、人材やチームの現状と本質を顕在化させ、その中で生まれた気づきや学びを長期的に記憶へ定着させることが可能です。
(参考:本物のチームビルディング)
ご興味ある方は、是非お気軽にお問い合わせ下さい。
まとめ
近年、働き方の多様化やダイバーシティーへの注目により、チームのあり方は急速に変化しています。チームビルディングには、コミュニケーションの活性化やモチベーションの向上など、チームとして成果をあげる上で重要な要素があると同時に、一人ひとりが “より自分らしくいられる” という効果もあります。これを機会に、チームと自分について、今一度見つめ直してはいかがでしょうか。
この記事を書いた人

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有限会社エッセンシャルエデュケーションセンター代表取締役。
幼少期からアルペンスキーの選手として活躍。高校卒業後、単身アメリカColorado Mountain Collegeへ留学。スキー選手として世界を転戦しながら、野外教育を学ぶ。スキー選手を引退後、弊社代表取締役に就任。1986年兵庫県出身。
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