『転ばぬ先のストック』
2019.01.30
先週一週間、小学校1〜5年生のウィンターキャンプを行って来ました。これは『ぼうけん』という授業の締めくくりとなる活動です。スキー研修など、皆さんの中でもイメージを持って頂きやすい活動で、私たちがどのように子どもと関わっているかがお伝え出来ればと思います。
「何をしたか?」
初日は1-2年生合同で「雪遊び」。基地作りとその基地を使った雪合戦を行いました。 3年生、4年生は、それぞれ1日「スキー研修」。レベル別にスキーをしました。 5年生は、1泊2日で「スキー」と「スノーシュー作り&スノーシューハイク」。木材を使って自分たちでスノーシューを作り、山登りをしました。
「何のためにしたのか?」
一見ただの遊びやスキーのスキルアップに見えますが、それぞれに “ねらい” があり、私たちは、その “ねらい” を意識して子どもと関わっています。 大まかに… 雪遊びのねらいは、「ほんもの体験」です。雪という身近ではない自然の中で五感を刺激することです。 スキー研修のねらいは、「努力する力を育む」です。スキーのスキルアップを通して、自分自身で試行錯誤しながら成長していける力を育むことです。
「子どもたちの様子」
まず、彼らの生活では身近ではない “雪” というものに大興奮で、いつも以上に楽しんでいるようでした。数人は雪を食べていてとても子どもらしい光景だなぁと思いました。 一方で、こんな発言もチラホラ聞こえてきました。 「グローブが着けられない」、「ゼッケンが着けられない」、(スキーで転んで)「立てない」、「スキーが履けない」…。 そして、その後は黙って待っています。誰かがやってくれるのを待っているのでしょうか。 私は、一度やり方(転んだ時の起き上がり方)を伝えると、「あとは自分でやってみて。がんばれ。」と伝えて見守ります。そうすると、不恰好ではありますが、何とか自分で起き上がれます。その後は、滑っては転んで、転んでは起きてを繰り返し、どんどん成長していきました。 もしあの時、困った顔をして待っている彼らの手となり足となり全面サポートをする様な関わり方をしたらどうなっていたでしょうか…。
「私の関わり方」
私が心がけていることは、以前ブログで書いた「本気・本音・本物」はもちろんなのですが、 自分の言葉にしてみると、今回のプログラムでは大きく2つです。 1つ目は、可能性を信じることです。 このプログラムの目的は「自分らしさを知り、自分らしく生きる」と掲げています。こちらが一方的に教えて、コケたらストックを差し出して立たせてあげるのではなく、立ち方を教えます。あとは自分で何とかするしかありません。大抵の場合、何とかできるものです。子どもは可能性の塊りです。 可能性を発揮するには、やはり自分自身で感じたことや試行錯誤することだと思います。私は勉強でも運動でも人間関係でも自己実現への道のりでも、能動的に得た学びの方が自分の身になると思っています。何より、本人が楽しみながら成長していけるのではないかと思います。よく言われるアクティブラーニングと同じかと思います。 2つ目は、子どもと対等でいることです。 これは心がけてもいますが、それよりも他の大人(世間一般的な大人)と比べて違うところかな思っています。 ここまで読んだ方の中には、「転んでいる子を黙って見ていて、なんてヒドイ人だ」と思う方もいるかも知れません。しかし本気で悩んだり考えたりしていると、「どうしたい?」「どうしよっか?」と一緒に考えます。時には本気で一緒に遊びます。私は精神年齢が小学生と変わらないので、稀に本気で言い合います。そうしながら、シンプルに人と人の関係性を築いていることで、“与える教育” や “転ばぬ先の杖” ではない、“教えない教育” の関わりが成り立っているのではないかと思います。
投稿者プロフィール
- EE事業部ディレクター
大学在学中は、社会福祉の分野を専攻しながら、野外教育の指導ボランティアを経験。大学卒業後、本格的に野外教育の世界へ。
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